プロ野球・阪神タイガースの元選手で野球解説者の掛布雅之氏(54)が自己破産の危機に立たされている。掛布氏が経営に携わっている会社2社に借金を肩代わりさせられたとして、大阪市のコンサルタント会社が約1億5300万円の支払いを求めた訴訟で、大阪地裁は12日までに掛布氏に全額支払いを命じる判決を出した。掛布氏は控訴する意向だが、元「ミスタータイガース」の懐は借金まみれでお騒がせ続きだ。
判決によると、掛布氏が経営する「掛布」と親族が経営する「掛布企画」は2005年、銀行から計2億円の融資を受け、このうち原告のコンサルタント会社「太貴」(大阪市)が1億6000万円を債務保証した。しかし、07年1月を最後に掛布氏側の返済が滞り、太貴が銀行に預けていた預金を担保として取られたとしている。
掛布氏側は「実質的な経営者は太貴側で、借金の肩代わりとはいえない」などと主張したが、大阪地裁は「原告側は外部から経営に関与していただけ」と主張を退けた。
1988年に現役引退した掛布氏は、飲食店やスポーツカジュアル用品店など幅広く経営していたが、ほとんどの事業が失敗に終わり、多額の借金を抱えている。
昨年11月には、固定資産税や住民税の滞納で大阪府豊中市内の豪邸が差し押さえられたことが判明。その後、全額納付して差し押さえは解除されたが、掛布氏の懐具合の窮状が浮き彫りになった。
さらに、89年から日本テレビ系で続けていた野球解説者の仕事も今年に入って突然契約を解除。日本テレビ(推定年間4000万円)と読売テレビ(同800万円)からの収入もなくなった。
掛布氏は本紙などの取材に、「納得がいかない。週明けに弁護士と相談して控訴の手続きを取ります。現在は事業についても適切に対応しており問題はありません」と話しているが、表情は険しいまま。このままでは球界からさらに縁遠くなりそうだ。