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プロ野球中継 BS放送が軸

2009年5月19日

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 プロ野球のテレビ中継が、地上波からBS放送に軸足を移している。視聴者の観戦の仕方が変わったことに加え、既存のBS放送局がコンテンツの確保に役立てたり、新設局が知名度向上に利用したりといった背景があるようだ。

◆チャンネル増控え「競争力に」

 BS日テレは今年、巨人戦を52試合放送する。地上波の日本テレビは最大で29試合としており、初めて試合数が上回った。

 かつてドル箱と言われた巨人戦だが、地上波ナイターの年間平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は98年の19.7%から08年は9.7%にまで下がった。

 「プロ野球の視聴スタイルが多様化したからだ」。元ロッテ投手でプロ野球の球団経営に詳しい江戸川大学の小林至教授は指摘する。お茶の間で家族そろって野球を見た時代と違い、いまは携帯電話のワンセグ放送やインターネットのテキスト速報でも「観戦」できるからだ。

 BSの番組編成も中継には有利だ。ドラマやニュースなど様々な番組を総合的に盛り込む地上波は編成が窮屈で、試合終了まで放送できないこともある。一方、ゆとりがあるBSは試合が長引いても最後まで中継できる可能性が高い。

 小林教授は「地上波は野球中継に最適とはいえない部分がある。BSへ移行する流れはさらに強まる」と見る。

 BSは11年の全面デジタル化を機に10局前後が新たに参入する見通しだ。チャンネル数は現在の12から2倍近くに増えそうで、競争は激しさを増す。

 デジタル放送推進協会は「競争力を高めるため、コンテンツの充実が必要」と話す。BS日テレは「(視聴率の目安となる)接触率が最も高いのがプロ野球。強力なコンテンツだ」という。

 BS11やBS12といった新設局もプロ野球中継に力を入れている。いずれも在京の局だが、楽天やロッテなど地方球団を集中して放送し、局名を広めるのに役立てている。

 楽天戦を主に放送するBS11は4月、楽天の本拠のクリネックススタジアム宮城に宣伝用のブースを設けた。楽天ファンから「今日も録画をセットしてきた」と声をかけられるようになったという。

 ただ、課題も少なくない。あるBS局の担当者は「プロ野球の視聴者は中高年が中心。CMの営業はどこも苦戦している」と明かす。別の局の担当者は「放送権料が安くはない。状況を見極めたい」と慎重だ。(高津祐典)

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