ロッテや大リーグ、ヤンキースで投手として活躍し、05年に引退した伊良部秀輝氏(39)が、現役復帰を目指していることが20日わかった。米ロサンゼルス近郊でトレーニングを続けており、すでにアマチュアでの試合では登板している。引退の原因のひとつとなった右ひざの故障も回復し、速球は90マイル(約145キロ)を超えるほどまで戻ってきているという。関係者によると、今季中に米独立リーグでの復帰を目指しており、さらに上のレベルを目標にするとしている。

 05年4月の引退発表から4年、伊良部氏がもう1度現役のマウンドを目指していた。伊良部氏は米ロサンゼルス近郊でトレーニングを続けている。現地の元プロ選手やアマチュア選手らが集まっているアマチュアの野球リーグでは、短いイニングながらすでに2試合に登板しているという。

 関係者は「復帰を目指しているのは事実です。体調がもどってきたことで、もう1度、野球がやりたくなったのでしょう。明るい表情でプレーをしている。トライアウトを受け、プレーできる球団をみつけたいようです。今季中の独立リーグでのプレー復帰を目指している。将来的には、本人はメジャーとか日本のプロ野球とか、もう1度高いレベルの野球に戻ることができればいい、と考えているようです」と明らかにした。カリフォルニアの独立リーグは5月末にシーズンが始まるため、そこに向けて調整を進めているようだ。

 伊良部氏は、02年オフにメジャーから日本球界に復帰。03年から阪神でプレーしたが04年オフに戦力外となり、05年4月に自身のホームページで「日本のプロ野球で通用しなくなったわけではない。好きな野球をお腹いっぱいやったという気持ち。納得のいく野球人生だった」として引退を表明していた。

 伊良部氏が引退した原因のひとつは右ひざの故障。01年エクスポズ時代に軟骨部分を痛め、内視鏡手術していた。さらに、04年の阪神時代にもう1度、軟骨部分を痛めてヒビが入った状態になりプレーができなくなっていた。

 関係者は「今は右ひざも痛みがなくなったようだ。肩とかひじを痛めて、辞めたわけではないのでプレーができるようになった」と話す。速球は90マイル(約145キロ)を超えるほどにまで戻ってきているという。

 伊良部氏は、かつて米独立リーグのチームに出資していたこともあったが、現在は関係はない。ロサンゼルス近郊でうどん店を経営していたこともあったが、譲渡しているという。最近では、3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝、決勝がロサンゼルスのドジャースタジアムで行われた時に、バックネット裏のほぼ最前列に観戦に訪れていた。

 引退を表明した選手の復活は日本では異例だが、米球界では驚くことではない。とかく“お騒がせ”のイメージのある伊良部氏だが独自の理論を持ち、無類の野球好き。情熱に火がついて、もう1度プロのマウンドを目指す。