10月に23年間のプロ野球生活に幕を閉じた清原和博氏(41)が自伝を来年1月14日に出版することが18日、分かった。引退後の清原氏の著書出版をめぐり激しい争奪戦が繰り広げられたが、出版界で急成長を続ける幻冬舎が権利をつかんだ。タイトルは「男道」。野球との出会い、桑田真澄氏(40)へのわだかまりと友情、西武黄金時代の栄光と巨人時代の苦悩など克明に描かれている。

 清原氏の著書出版については引退がささやかれ始めた今夏ごろから水面下で、争奪戦が繰り広げられていた。ある大手出版幹部は「PL学園時代を含めて25年も第一線のスター。子供から大人まで知っていてドラマも多い。活字離れに不況も重なり業界は苦しい。特に単行本の売れ行きは低迷するだけに、清原氏は今後の出版界で最も注目される1人」と語るほどだった。

 引退後、最初の活動とも言える自伝出版は幻冬舎が選ばれた。同社は創業15年ながらミリオンセラー14作を数える。芸能人や著名人によるベストセラーも多く、唐沢寿明「ふたり」、郷ひろみ「ダディ」など自伝から、劇団ひとりの小説デビュー作「陰日向に咲く」をミリオンセラーに導いた。球界最大のスターと出版界の風雲児は「男道」で09年最初のベストセラーを狙うことになる。

 内容は原点である岸和田リトルリーグやPL学園時代、特に3年生夏の甲子園決勝で2本塁打した宇部商戦を克明に振り返っている。プロ野球時代の思い出ももちろんだが、特にこれまで具体的にされてなかった巨人退団の経緯に触れ、球団外部の人間が戦力外通告にやってきたことなど不可解な出来事まで明かされている。

 また、PL学園時代からの同僚、桑田氏が早大進学を表明しながら巨人に指名されたドラフト当時について「桑田が憎かった」と本音をこぼしながら、巨人時代は引退を思いとどまらせたエピソードなど深い友情がつづられた。

 10月1日の引退試合以来、目立った活動のなかった清原氏だが22日発売の同社の雑誌「GOETHE(ゲーテ)」のインタビューで、わずかに残った未練について語っている。左ひざ手術から復帰後、本塁打が打てなかったのがそれで「あのボクサーのようになれたらいいですね」と45歳で世界王者に返り咲いたジョージ・フォアマンに思いをはせている。ファイティングスピリットを失わない「男道」は続いている。

 [2008年12月19日8時34分

 紙面から]ソーシャルブックマーク