リアルではなかなかお目にかかれない、金髪メイドさんのカメラ目線がまぶしい。

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たまたま書店で見かけた日本語版ニューズウィークの表紙がもの凄いことになっていたので、買ってみました。二次元美少女メイドさんが表紙に"ドーン"という、思い切ったレイアウトは圧巻のひと言。"Newsweek"のロゴがなければ、三才ブックス(※1)あたりが出したメイドさんフィーチャー本と勘違いしそうな出来映えです。このハジケっぷりは尋常ではありません。編集部に大幅な人事異動でもあったのでしょうか(謎です)。

目次には「涼宮ハルヒ」の画像が貼られたプラカードを持ってデモに参加する、あのパレスチナの少女の写真(※2)を掲載。その写真の横に「萌える世界」のタイトル文字が踊っています。他の記事が「慰安婦決議、ある議員の戦い」「バルカン半島は再点火5秒前」「次に来る中国ショック」とそれっぽいものが並んでいるだけに、とても違和感を覚えてしまいます。ネタが異質すぎるので当然といえば当然かも知れませんが。

(※1)三才ブックス:マニアックな本が多いことで知られる一部アキバ系御用達の出版社。『もえたん』『また「あるある」にダマされた。』『放送禁止映像大全』などの書籍、『ラジオライフ』『ゲームラボ』などの雑誌を発行している。

(※2)あのパレスチナの少女の写真:去年の12月、パレスチナで子供が犠牲になった車輌銃撃事件への抗議デモ中に撮られた写真のこと。デモに参加した少女が持っていたプラカードに、何故かTVアニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』のハルヒの画像が貼られていたことで話題となった。ちなみに画像下に書かれたメッセージは「子どもを殺さないで」という非常にシリアスなもの。そのあまりのカオスっぷりに、一時「コラなのでは?」との憶測も飛んだが、どうやらコラではなかった模様。まだ見たことのない人は「ハルヒ」「パレスチナ」でググってみましょう。

さて、肝心の特集記事はというと、全8ページの構成。大見出しは「ニッポン発萌えパワーに世界も(^O^)」とあります(顔文字が素敵です)。海外のファン事情というところがニューズウィークっぽい感じですね。日本のアニメ・マンガに夢中になっている、パリ、ベルリン、台北、北京、シンガポール、バンコク、ニューヨークなどに住む人々の声が掲載されています。

例えば、パリでマンガ喫茶を開いた店長が、"パリの若者が東京を訪れる=まるでメッカの巡礼"という持論を展開したり、北京の会社員が「日本のマンガとアニメは命の一部」と語ったり、台北のメイド喫茶に「宅道(※3)」という書が飾られていたりと、日本発信のアキバ文化が各国で日本以上にヒートアップしている様子を伝えています。

(※3)「宅道」:「オタクの道」の意味らしい。

こういった海外ファンの日本に対する憧憬のまなざしは、日本在住のアキバ系にとっては、いくぶん"ツラい"ものがあります。実際の我々は世間から微妙に距離を置かれ、趣味を公言する時もTPOにそれ相当の気を遣わなければならない存在っ……。うっかり免疫のない人の前や場所で「ときメモのピンク(春日つかさ)は俺のヨメ!」などと"カムアウト"でもしようものなら"ドン引き"または"社会生命(社会的立場)"抹殺は必至です。萌えは心の中にそっとしまっておくのが、いつのまにか我々の基本姿勢になっているのです。悲しいことに(だが萌えるのは「自由だーっ!」※犬井ヒロシ調に)。

吠えるのはさておき、記事でちょっと気になったのが、取材を受けた20代の中国人男性が「アニメの影響もあって8歳くらいの女の子に興味を持つようになった」と書かれていた部分です。アニメが影響しているのなら、アニメ好き=二次元萌え=三次元は無用、というのが本道。アニメ好き=ロリコン(※4)=幼児好き、という発想は邪道というか、根本的に大間違いで、ここは非常に重要です。